井岡一翔は間違いなく、ボクシング界の主役の一人だった。しかし、主役はやがて12度の長期防衛に成功する山中や軽量級で圧倒的な存在感を示す井上尚弥に主役の座は移り、話題性も村田のミドル級王座奪取や比嘉大吾や拳四朗などの若い新鋭ボクサーが脚光を浴びることに。
やがて、井岡は王座を保持しているのにも関わらず、ボクシング界の中心から徐々に弾かれていった。致命的だったのはランキング1位のダラキアンとの指名試合を結果としてキャンセルしてしまったこと。キツイ言い方をしてしまえば、晩節を汚したと言っていいかもしれない。勝てば有終の美を飾れたし、負けたとしても、逃げずに戦ったという評価はもらえただろう。また、現役を続行していれば、日本人初の4階級制覇の可能性もあっただけに今回の引退という決意は非常に残念でならない。
一部ネット掲示板などでは彼をバッシングするような書き込みもあるが、個人的には非常に好きな選手だった。緻密で正確で丁寧なボクシングをする彼は井上や比嘉のような豪快なKOは少なかったが、そのテクニックは1級品だったことは間違いないはずだ。ビートたけしも期待するように再起を願っているが、一法氏との確執問題が尾を引けば、そう簡単にはいかないだろう。とにかく、一度、ゆっくり休んで1年後か2年後に必ず復活してもらいたい。